■はじめに
クレジットカードを利用する際に大事で必要な知識は、シンプルでとても簡単。
それは、
(1)クレジットカード会社が儲からないことは利用者にとって有益。
(2)クレジットカード会社が儲かることは利用者にとって損益。
ここは必ずテストに出るので覚えておきましょう。
■さくら、それは*****が客に文句を言うカードや!
皆さんは、クレジットカードについてどれだけのことをご存知でしょうか?
例えば買物をする際に1万円の商品を1万円札の現金で買うか、もしくは1万円札の代わりにクレジットカードで払うか?
どちらも最終的には、財布 or 銀行口座から1万円のお金が使われることには間違いないのですがクレジットカードで買い物をした場合、代金はその場で受け取るわけでもないのになぜ商品を渡してくれるのか? 疑問に思ったことはありませんか? それは、1万円の商品代金を確実に回収できるからなのです。給与日前に銀行残高が不足していても販売店はそんな心配をする必要も無い。なぜなら商品の代金は購入者ではなく、クレジットカード会社から支払われるからなのです。
販売店が1万円の商品を販売し、代金はクレジットカード会社から支払われる。クレジットカード会社は、購入者の銀行口座から1万円を請求する。普通の取引だと思われますが、大事なポイントがあります。クレジットカード会社の利益はどこから出ているのか? という点です。
これは、クレジットカード会社が販売店から手数料を徴収しているのですね。手数料が5%だとすると、クレジットカード会社から販売店には9500円しか支払われない計算になり、銀行口座からは1万円が請求されるのでクレジットカード会社の利益は差額500円となります。
とすると? この場合、販売店が1万円の商品を500円値引きして9500円で売ったと同じこと考えられるでしょうか?
答えはNOです。販売店が払っているのはクレジットカード会社への手数料だけではなく、クレジットカードを使う購入者に対して、「無料で時間」を売っていることになるのです。
当然ですが、「時間」にもお金がついています。手元に有る1万円と、一週間後に手に入る1万円は価値が違います。今、手元の1万円は価値が高く、一週間後の1万円は価値が低い。貨幣価値は時間に依って減るのです。
今どうしてもお金が必要で、1万円ないと死んでしまう。すぐに1万円を使って生きながらえることが出来ることと、どこかの誰かに一週間後に換金できる1万円の引換証をもらったとしてあなたはどちらを選びますか? 引換証では現段階では何の役にも立たたず一週間後に1万円が手に入る前に死亡している公算が高いです。この場合、手元に有る1万円は生命の価値に匹敵します。しかも1週間後に引換証を持って行ったとしても、1万円と交換してもらえる保証もどこにもないのです。
目の前の1万円は間違いなく自分のもので、将来の1万円は常にリスクが伴います。誰も未来を予知できないからです。だからこそ、銀行にお金を預ければ利息を受け取ることが出来て、一週間後に手に入るはずの1万円は、その間の利息分だけ損していることになります。例えば、現在の1万円を今すぐ銀行口座に預けれて一週間の金利が1%だとすると、現在の1万円は一週間後に1万100円に増えているのだけど、引換証を選ぶとこの100円の利息を全損していることになります。
これもテストに出る非常に大事なことです。つまりは、
「現在価値は、将来価値からリスクと機会費用(受け取れるはずだった利息)を割り引いて求め、将来価値は、現在価値にリスクと機会費用を加えたもの」ということを理解しましょう。
■金融業は時間仲介業
これを踏まえて考えてみると、銀行にお金を預けると利息が貰えるのは銀行が「時間」を売っているからです。銀行預金とは、口座から現金を引き出すまでの貨幣の使用を先送りする取引であり、銀行に与えた「時間」の対価として利息が支払われます。その一方、「時間」を買いたい人もいます。
これから10年間、年間10万円ずつ貯金することとして、10年後には100万円貯まるとします。今、銀行でお金を借りるとしたらどうでしょう? これは受け取ることの出来る現金は100万円よりずっと少なくなります。現在価値は、リスクと金利分だけ割引きされるからです。
100万円の将来価値に対して、受け取った現金(現在価値)を90万円とした場合、差額の10万円が「時間」を買った使用料です。毎年1万円ずつ分割払いしたものが銀行に支払う利息になるのです。
銀行は預金者から「時間」と言う原料を購入し、それを住宅ローンや企業向け融資に加工して販売し、「時間」の購入代金と販売代金との差額が銀行の収益となります。
クレジットカードの話に戻って考えましょう。クレジットカード会社は締め日と支払日があります。一般的に「15日締め翌月10日払い」ですが、前月16日から今月15日までの一ヶ月分のカード利用額を合計し、翌月10日に銀行口座から引き落とされます。
一ヶ月を30日として、カード利用から引落しまで最短で25日、最長で55日支払いが先送りできる計算になり、カード利用者はその「時間」を買っていることになりますが、一括払いの場合、利息と手数料は不要です。
これは実はものすごく驚くべきことで、前述のとおり「時間」は無料では購入できないからです。「時間」を無料で買っているということは、誰かが「時間」を無料で売っていることになりますね? 誰かというとクレジットカード会社ではなく、販売店になります。
1万円の商品をクレジットカードで購入すると、販売店はその代金をすぐには受け取れない。クレジットカードの売上から入金までの期間は販売店とクレジットカード会社の契約で決まりますが、だいたいは「月末締め翌月末払い」 「月末締め翌々月20日払い」と言う条件。一ヶ月を30日として、前者なら売上から支払いまで最長60日かかり後者なら最長で80日経たないと売上金が入金されませんね。
もうすこし簡単に考え、クレジットカード売上から入金までの期間を60日、銀行預金の金利を年3%として、1万円を二ヶ月(60日)預けると50円の利子がつく計算になります。購入者がクレジットカードを利用すると、5%の手数料を引かれて、二ヶ月後に9500円入金されます。現金払いの客から1万円を受け取り、銀行に預けた場合は二ヶ月後には1万50になる計算です。その差額は、利息分を含めて550円。つまり販売店は1万円の商品を9450円に値引きして販売したことになります。
このようにクレジットカードの利用は、販売店の収益を大きく圧迫します。
■終わりに
販売店によっては、クレジットカードの2回払いやボーナス一括払い、ボーナス二回払いが可能なこともあります。さらにこの支払い方法を選んでも利息が発生しません。割賦販売法では支払回数3回以上の分割払いを「割賦」と定め「手数料(利息)」の徴収を認めており、期間の長短にかかわらず、支払回数が2回以下では、クレジットカード会社は手数料を取れません。
これを利用すると、無料で時間を購入する期間を大幅に延ばせます。
15日締め翌月10日払いのクレジットカードの場合、2回払いでは最長110日支払いが繰り延べられ、6月16日にボーナス一括払いで商品を購入すれば、引き落としは翌年の1月10日なので繰り延べ期間は208日になります。ボーナス2回払いだと、なんと「1年間無利子」でお金を借りるのと同義です。その間の利息は販売店が立替えています。
すべてのクレジットカードは、支払い猶予期間をできるだけ長くするように使うのが経済合理的であり、販売店は利息分を商品価格に上乗せしているのが普通です。カード払いの購入者が得した分を現金払いの購入者が埋め合わせをしているのですねー。
長くなりすぎるので、次回は販売店がなぜクレジットカード払いを導入するのか? 「クレジットカードには人生と経済学の大切な事が全てつまっているんだよ。でもみんなそれに気付かないんだ(第二回)。」をお送りしますのでお楽しみに!
クレジットカードは持ちましょう。管理者は三井住友VISAゴールドカードを愛用しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿